前回「温暖化を止めるために必要な3つのこと」についてお伝えし、大気中に出てしまったCO2を回収する取り組みの1つとしてブルーカーボンを紹介しました。今回は熱海でのブルーカーボンへの取り組みをご紹介しましょう。
1つ目は、実際に海で藻場を再生させようという取り組み。熱海の海にも昔は海草や海藻がいっぱい生えていたそうですが、いつの間にかなくなってしまいました。それをよみがえらせる活動を漁業関係者や自治体、地域の方々と進めています。
次に藻場の調査方法の開発です。藻場再生に取り組む前に、現状を知る必要があります。また、取り組みの結果、増えたのか増えていないのかがわからないと、効果的な活動はできません。ダイバーに潜ってもらうのが一番確実ですが、お金と時間がかかります。そこで、私たちは小型の船を使って、魚群探知機で現在位置を確認しながら、水中カメラを引っ張り、藻場がありそうとなったら、水中ドローンを下ろして詳しく調べるという方法を開発しようとしています。
3つ目は情報発信・共有です。日本の各地で藻場再生やブルーカーボンの取り組みが行われていますが、連携はあまりありません。お互いが学び合うことでそれぞれの活動を推進したいと、ブックレットを出版したり、ブルーカーボン・ネットワークというNPO法人を立ち上げたりして、地域や企業をつなぐ活動をしています。
ブルーカーボンの取り組みが、気候変動対策や漁業支援、地域の観光資源となり、さらに地元経済への好循環を生み出せたら。そして環境教育として多くの人に体験してもらえたらー。そんな願いを込めて活動しています。
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2020年に移住した熱海市で環境教育に取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが、持続可能な社会をつくるために必要な力や知識を解説します。
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