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未来を創り出す力 ④ 『手段と目的 混同しない』(明日への環境Lesson/静岡新聞)

更新日:7月20日

 


枝廣淳子さんが代表を務める「未来創造部」の「変化の理論」を学ぶ研修=熱海市

 今回は創り出したい変化のつながりをデザインする力のお話です。


 例えば、「海岸のプラスチックごみをなくしたい!」という変化を創り出したいとしましょう。この時、「ビーチクリーンをやろう」「SNSで呼びかけよう」と、すぐに「活動」(=何をやるか)を考えるのではなく、まずは「最終的に海岸でゴミを捨てる人はおらず、ゴミが落ちていたらだれもが拾うようになっている」というビジョンを考えます。「その一歩手前には、何がどうなっていたらいい?」、「その一歩手前は?」というふうに、変化の状態を長期・中期・長期といった時間軸で考えていきます。そのあとで、その状態を作り出すために、ビーチクリーンやSNSといった活動(手段)を考えていきます。


 ここで大事なのは「手段と目的を混同しない」ということです。「英語が話せるようになる」という目的に対して、もし英会話学校が続かなかったとしても、それは手段の一つがうまくいかなかったのであって、別のやり方で目的を達成すればよいのです。


 私は20年以上前から環境問題に取り組んでいますが、残念ながら、環境はどんどん悪化している。「挫折したことはないんですか?」とよく聞かれた時私はこう答えます。「手段ではしょっちゅう挫折していますが、持続可能で幸せな社会をつくりたいという、目的に挫折したことはありません」。イベントに人が集まらなかった、本が売れなかったなど、手段に失敗することは多々ありますが、それなら別の手段で挑戦すればいいこと。目的まであきらめる必要はありません。


 さあ、変化のデザイナーになってめざすビジョンへの設計図を描いてみましょう! ものごとを動かす一歩につながります。



 2020年に移住した熱海市で環境教育に取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが、持続可能な社会をつくるために必要な力や知識を解説します。



 


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