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温暖化 ②『地球を覆う膜 次第に厚く』(明日への環境Lesson/静岡新聞)

 




 前回温暖化による大雨や台風の影響に触れましたが、その後、台風10号が日本列島を横断しました。被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。私もちょうど関西に出張している時に東海道新幹線が運休。熱海に帰ることができずとても困りました。人の移動だけでなく物流もとまりますので、必要な人に必要な支援や物を届けることができなくなるなど、私たちの生活に大きな影響を与えています。


 温暖化は特に農業に大きな影響をもたらします。雨だけでなく熱波や渇水などによる被害も世界的に起こっています。基本的に農業はその土地にあった気温や降雨量にあわせて営まれていますから、気温が変われば収穫量が減ったり、昆虫や雑草、病気の発生や範囲も拡大する可能性が高くなります。植物の開花が変わると、ミツバチやチョウなどの受粉を媒介する生き物が出る時期にも影響が出て、これまた生産量が減少。こうして考えると温暖化についても、あらゆるものごとがつながっていることがわかりますね。


 そもそも温暖化はなぜ起こるのでしょうか。毎日、太陽から地球には光が届いています。地球の表面はこの太陽熱を赤外線の形で反射し、宇宙に返してしまっています。このままだと地球は冷たい星のままなのですが、ありがたいことに地球の周りには薄い透明の膜があって、反射する赤外線の一部を吸収して、また地球にはね返してくれています。この薄い膜が地球を温室のように温かくする役割を果たしてくれているので、「温室効果」と呼ばれています。


 しかし、最近はこの膜がどんどん厚くなってしまい、地球にはね返す赤外線がどんどん増えています。そのため温室の中(=地球)がどんどん温かくなる。これが温暖化です。この守ってくれている、でも厚くなっている膜は「温室効果ガス」と呼ばれる気体です。二酸化炭素やメタン、フロンガスなどいくつかの種類があります。


 ないと困るけど、ありすぎても困るもの。この温室効果ガスが増えているために温暖化が進んでいるのです。

 



 2020年に移住した熱海市で環境教育に取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが、持続可能な社会をつくるために必要な力や知識を解説します。



 


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