
前回、地球を覆う膜(=温室効果ガス)が厚くなると、地球の温度がどんどん上がるという話をしました。日本では、排出される温室効果ガスの90%以上を構成しているのが二酸化炭素です。「温暖化=二CO2対策」ということですね!
人間や動物は呼吸するたびに酸素(O2)を吸って、CO2を出しています。植物はその逆です。このバランスによって、地球のCO2濃度(空気中に含まれる濃さ)は、長い間ほとんど変わりませんでした。
ところが、数十年前から世界のCO2がどんどん増えています。どうして急に増え始めたのでしょう?
日本全体で出しているCO2のうち、約40%は工場や会社などの産業部門から出ています。煙突から煙のように目に見えるわけではありませんが、工場で何かを燃やしたり、化石燃料で作った電力を使って機械を動かしたりすると、たくさんのCO2が出ているのです。
次に多いのが人や物を運ぶ運輸部門で約20%です。中でも意外と多いのが、約半分を占める乗用車からの排出です。それから、私たちの家庭から出るCO2が全体の約13%を占めています。皆さんが朝起きてから夜寝るまで、テレビを見たり、照明や冷暖房をつけ、お風呂に入ったりしますよね。その電力やガスが化石燃料からのものだと、CO2が出ます。
実際にCO2がテレビから立ち上っているわけではありませんが、テレビを見るための電気を作るのに、火力発電所では石油や石炭、天然ガスを燃やしています。そのときにCO2が出るのです。
エネルギー源が再生可能エネルギーでない場合、便利な家電製品をたくさん使ったり、快適だからとみんなが車を使ったりすると、それだけCO2の量が増えてしまうのですね。ではこの問題をどう解決したらいいでしょうか。次回考えていきたいと思います。
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2020年に移住した熱海市で環境教育に取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが、持続可能な社会をつくるために必要な力や知識を解説します。
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