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温暖化 ⑤『"地球号"の乗組員として』(明日への環境Lesson/静岡新聞)

更新日:2月14日

 







 


よく「環境問題には国境はない」といいます。例えば「森林破壊」だったらその森林がある地域の問題ですが、温暖化はグローバル(地球全体)の問題です。日本が出した二酸化炭素による温暖化は日本の気温だけを上げるのでなく、地球全体の温度を上げてしまうからです。


 2019年9月、当時スウェーデンの高校生だったグレタ・トゥーンベリさんがたった一人で始めた気候ストライキが有名になりました。気候変動の影響を受けるのはこれからを生きる若者たちなのに、大人たちは何もしてくれない、と怒りのメッセージを出したのです。グレタさんの行動は多くの子どもや若者、大人に響き、全世界で400万人が参加する活動に広がりました。


 このような気候危機に対し、日本では自治体や企業が「気候非常事態宣言」を出しています。「現在の環境や気候危機に対し、私たちはこういった取り組みをしていきます」という宣言で、私が代表を務める「イーズ未来共創フォーラム」のサイトでは宣言した団体を紹介しています。自分の町はこの中にあるでしょうか? 


 23年5月に気候非常事態宣言を出した神奈川県二宮町では、町民と行政職員による会議をつくり、宣言文を作ったそうです。うれしいことに私が立ち上げた学びの場「未来創造ユースチーム」のメンバーもこの会議に参加し、ユースチームで学んだビジョンの描き方や合意形成の方法を大人との会議でも生かしてくれました! 皆で描いた二宮町の未来の姿や千年続く町への思いが込められた宣言文を読み上げるメンバーを見て、私も胸が熱くなりました。


 言うまでもなく、非常事態を宣言すべきは二宮町だけでなく、日本全体であり、世界全体です。国境のない問題である温暖化の進む地球では、ある国だけが助かる、ということはありません。全ての国・全ての人が"地球号"の乗組員。「自分には何ができるのかな?」と考えて、少しでも取り組んでいきましょう。





 



 2020年に移住した熱海市で環境教育に取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが、持続可能な社会をつくるために必要な力や知識を解説します。



 


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